看多機(かんたき) |渋谷区初台の【アストレア法律事務所】

看多機(かんたき)

看多機をご存知だろうか。
看護小規模多機能型居宅介護の略称であり、看護と介護を一体的に提供するサービスのことである。
 
自分や家族の誰かに介護が必要になったとき、施設に入るのか、在宅介護にするのかを選択することになるが、看多機は在宅介護を選択した際のサービスの一つである。
看多機は、一つのところで、通い、宿泊、訪問介護、訪問看護などを引き受けてくれるため、利用者からすると、見慣れたスタッフによって、トータルのサービスを受けることができる。スタッフも、杓子定規ではない、利用者や家族に合ったきめ細かい対応が可能となるというメリットがある。
 
それぞれのサービスがぶつ切りになっていないことは、利用者やその家族にとって、想像する以上に重要なことである。日々の生活は、止まらないし、急な変動もある。そして介護は生活のなかに組み込まれるものであり、それを家族と介護や看護のスタッフで協力し合いながら担っていかなければならない。ぶつ切りのサービスの場合、スタッフが関わる範囲が限定的になり、急な変動はすべて家族の負担となってしまうが、看多機のようなトータルなサービスの場合、看多機のスタッフと協力しながらこれを乗り切ることが可能となるのである。
最近、人が、最期まで自分らしく生きることの難しさについて考えさせられる。誰だって、自分らしく人生を全うしたい。
 
私がとてもお世話になった大先輩弁護士は、ご自身の病気が分かった後も、最後の最後まで仕事をし、大好きなタバコも酒も止めず、ゴルフも続け、自分らしく生き抜かれ、旅立たれたが、そのような方は珍しいのかもしれない。
私も大先輩のように自分らしく人生を全うしたいと思うが、将来のことは分からない。
 
今後、介護を必要とする人は増える一方だろう。今でさえ人手不足の介護の現場は、20年後30年後どうなっているだろうか。看多機のようなきめ細かいサービスは、スタッフの負担も大きいはずである。それでも、介護を必要とする人々がなるべく自分らしく生きられるための選択肢は多くあってほしいと思うし、看多機のようなサービスは縮小されることなく、より良い形に進化しながら残ってほしいと願う。
 
(2023年12月記)

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