任意後見とは

 任意後見契約は、判断能力が低下した場合に備えて、判断能力があるうちに、特定の人に「後見人」(任意後見人といいます)を依頼しておくものです。
 任意後見契約は、必ず公証役場で公正証書を作る必要があり、公正証書がないと効力を生じません。公正証書が作られると、公証人が法務局に登記を申請しますので、その旨の登記がなされます。
 しかし、これだけでは、任意後見人は仕事を始めることができません。任意後見人が実際に仕事を始めるためには、家庭裁判所に、本人の判断能力が低下しているので、お目付役となる任意後見監督人を選任してほしいという申立をする必要があり、任意後見監督人が選任されて始めて任意後見が開始になるのです。

 任意後見契約は、任意後見監督人が選任される前でしたら、いつでも解除できます。解除は、合意の上での解除の他に、どちらからでも一方的に解除することができますが、公証役場で所定の手続をとる必要があります。

 任意後見契約の制度趣旨は、判断能力があるうちに、自分が信頼できる親族や専門家などに「老後」のことを依頼しておくと安心だということです。しかし、実際には、子どもが親の財産を自由に使うために、任意後見契約を結ばせるようなことも生じかねません。このような制度の濫用を防ぐために、必ず公正証書を作成する必要があることにして、公証人が本人の意思をきちんと確認するという仕組みにしてあるのですが、公証人が意思確認を行うにも限界があります。

 任意後見契約を結ぶ場合は、弁護士のような信頼のおける専門家に任意後見人を依頼することをお勧めします。また、任意後見契約は、任意後見監督人が就いて実際に任意後見が開始するまでは、いつでも自由に解除できますので、任意後見人となることを依頼していた人が信用できなくなったときは、解除の手続をとってください。

任意後見に関する費用

  • 申立費用
    前述のとおり、任意後見を開始するためには、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立をする必要があります。その手数料は15万円(消費税別)です。ただし、財産が多い場合や事情が複雑な場合は、これ以上となることがあります。
  • 任意後見人の報酬
    任意後見人に対する報酬は、任意後見契約で決めておきます。管理する財産の種類や評価額、任意後見人として行なう後見事務の内容等を考慮して決めることになります。
  • 任意後見監督人の報酬
    任意後見監督人の報酬は、任意後見監督人が家庭裁判所に報酬付与の申立をして、家庭裁判所に決めてもらうことになります。成年後見監督人に準じて決めることになります。報酬の目安については、ここをクリック

弁護士青木信昭の実績

 2013年4月1日現在、80歳代の女性(自宅で介護保険を利用して生活)の任意後見人に就いています。